近年、木炭は燃料用以外の水質浄化や土壌改良材等といった新用途への利用が注目されています。今回は、木炭の機能のメカニズムや、その機能を生かした試験を中心に紹介します。
現在の木炭の国内消費量は、約18万トンと推定され、ここ数年、大きな変動はありません。ちなみに、徳島県の木炭(竹炭を含む)生産量は、約40トンです。
最大の消費は、やはり、蒲焼用、レジャー用、茶の湯用の燃量として使用されており、全体の約4割を占めています。その次には、土壌改良材として使われているもので、全体の約2割を占めています。
木炭の組織は、縦横に通じるパイプ集合体のような形態であり、表面積は、1g当たり約250~500㎡あるといわれています。この微細な無数の孔は、すべて外界に通じているので水や空気と接する面積も広いので、表面の吸着量も多くなります。さらに、木炭の無数の孔の表面に微生物が住みやすく、住みついた微生物は、人間や植物の役に立つ活動を行っています。
しかし、木炭は原料や製造方法の違いにより、その性質がまちまちで、他の工業製品のようには画一的に捉えにくく、土壌改良材としての利用方法も確立されていません。そのため、利用に際しては、各自の経験に基ずき行われているのが現状です。
そこで、徳島県林業総合技術センターでは、間伐材の有効利用の点からも含めて、木炭(粉炭)を使用した土壌改良試験を行いました。
使用した木炭は、県内産スギ間伐材を炭化させたものを用いました。植栽した樹種は、性質のよく似ていて活着率の良く緑化樹として利用されている、タイワンフウとトウカエデにしました。また、両樹種は、当センター樹木園にある成長のよく似たものを用いました。
まず、スギの間伐材木炭を粉炭にして使用する訳ですが、非常にスギの粉炭は軽いので、風の少ない日を選んで屋外で粉砕機にかけ、1㎜以下の粉炭にしました。
次に、徳島県林業総合技術センターの裏山の土(赤・黄色土)を採取して、1cmのふるいにかけて、大きな石を除去し、ふるいを通過したものを使用しました。
試験区は、粉炭含有率(体積)で、0%、10%、20%、30%の4試験区を設けました。平成10年9月10日に、それらの試験区の粉炭の混合量を正確に計り、化成肥料を各試験区15gずつ入れて、慎重に偏りが無いように混合し大型ポット(直径44㎝、深さ25㎝)に入れ、各試験区にタイワンフウ、トウカエデを5本ずつ計40本植栽しました。
なお、植栽時期としては、活着が難しい時期であったので、活着率向上のため、メネデールを(第一鉄イオンを単体として含有する液体。活着促進に効果有)100倍に薄めた液を均等に1回だけ散布しました。これ以降は、適宜表面が乾燥したら水をあたえるようにしました。
植栽4日後に、粉炭混合率0%のタイワンフウが1本枯れてしまいました。これは、苗木堀取り時の根の状況が悪かったものと考えられます。
植栽後1年を経過した状況は写真1で、平成11年9月21日から、土壌理学性の測定を行い、その結果が表1のようになりました。粉炭混合率が増えるに従って容積重の減少、孔隙量及び最大容水量の増加、透水性の増大が認められました。

| 容積重 (g/100cc) |
全孔隙量 (%) |
最大容水量 (%) |
透水性 (cc/min) |
|
|---|---|---|---|---|
| 粉炭混合率0% | 143 | 43 | 36 | 8 |
| 粉炭混合率10% | 123 | 51 | 45 | 23 |
| 粉炭混合率20% | 114 | 54 | 46 | 34 |
| 粉炭混合率30% | 95 | 58 | 51 | 72 |
また、樹高及び根元径のそれぞれの平均については、表2・3のとおりで、写真2・3は、各試験区で最も成長の良かったものです。
| 粉炭混合率0% | 粉炭混合率10% | 粉炭混合率20% | 粉炭混合率30% | |
|---|---|---|---|---|
| 樹高(cm) | 65.00 | 67.50 | 70.75 | 90.05 |
| 根元径(mm) | 6.57 | 7.08 | 7.10 | 7.88 |
| 粉炭混合率0% | 粉炭混合率10% | 粉炭混合率20% | 粉炭混合率30% | |
|---|---|---|---|---|
| 樹高(cm) | 88.50 | 123.75 | 139.25 | 120.00 |
| 根元径(mm) | 6.69 | 7.72 | 9.04 | 6.67 |
表2及び写真2からわかるように、タイワンフウは、粉炭混合率30%が最も成長が良く、表3及び写真3からわかるようにトウカエデは、粉炭混合率20%が最も成長が良い結果となりました。
お互い、落葉樹で高木、日当たりも好み、比較的乾燥にも耐える樹どおしでも樹種により異なる結果が出ました。
従って、植栽木に対して、粉炭使用による成長の助長効果が認められました。
今回は、大型ポットで1年間しか経過視察ができませんでした。今後は、ほ場※等で、樹種や本数を増やして、数年の観察を行い、土壌改良材として、スギ間伐材の有効利用を確立していく予定です。
(※「ほ場(圃場)」は、作物を栽培する田畑、農園のこと。)
徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所 技術情報カード No.7(1999年11月)より
※徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所の了解を得て掲載しています。
