RC構造における徳島すぎ防音床の開発

はじめに

 RC構造等の非木造建築物においては、スラブ上にPタイル等の床材を直張りしたタイプが多いが、冬季の室内温熱環境を測定した場合、居住快適性に欠ける等の報告もある。

 そこで室内環境の改善、及び県産スギ材の需要拡大を目的として、こうした建物のリフォームの提案を行うこととし、別途開発した防音床を実証的に施行し、その音環境、寸法精度等を測定した。

1.試験方法

 徳島県立工業技術センター等と共同開発した防音床 (図-1) について徳島県猟友会館に実証施工し、以下の3タイプとの性能比較を行った。

  1. スラブにPタイルが貼られた元の状態
  2. Pタイルの上に30㎜のスギ厚板を直張り施行
  3. Pタイルの上に防音床を施行
図1.防音床の仕様

2.床衝撃音の測定

 床衝撃音については、ポータブルPulseマルチ音響振動分析器 (B&K社製) を使用し、JIS A 1418-1,-2に定める軽量床衝撃音と重量衝撃音について測定し、床衝撃音レベルと床衝撃音低減量△dBを測定した。

3.結果と考察

図2.重・軽量床衝撃音(白ぬきが軽量)

【軽量床衝撃音】
 軽量床衝撃音レベルにおける比較では、Pタイルに比べて徳島すぎの厚板30㎜を直貼りした場合、主に高音域が低減した。そして防音床では、全測定周波数帯域において飛躍的に低減効果が認められた。遮音等級で比較すると、150㎜のスラブ厚の条件下では、PタイルでLL75等級、直貼り床でLL60等級、防音床でLL40等級であった。

 共同住宅の管理組合等では、床騒音レベルの許容値としてLL45等級を採用していることからすると、改善効果は大きいものと考えられる。

【重量床衝撃音】
 重量床衝撃音レベルにおいては、軽量床衝撃音レベルほどの差が表れなかった。遮音等級で比較するとPタイルでLH45等級、直貼り床でLH50等級、防音タイプでLH50等級であった。

 重量床衝撃音の性能は基本的に建物の構造によって決まるとされる。このため、仕様の違いによって差があらわれなかったものと考えられる。直貼りよりも防音床が63HZでの低減量が逆転したことについては、防音床仕様の剛性不足が原因と考えられ、今後改善等で検討したい。

図3.隙間寸法の変化

【隙間寸法精度】
 施行後の乾燥収縮、膨潤による隙間の発生状況を追跡するために、室内の定位置に基準線を設けて、シックネスゲージによりフローリング材の隙間間隔を測定した。

 施行時においては、最大0.75㎜平均0.27㎜であったものが5ヶ月後では最大3.50㎜平均1.74㎜であった。フローリング材の含水率の低下によるものと、伝播音や振動を壁に伝えないよう壁との間に5㎜以上の隙間を設けたこと、繊維板のクッション性などが影響しているものと考えられる。

【施行費用】
 施行に要した材料費は総額で335,786円、単価15,085円/㎡であった。施行労務費については今回は試験施行であり、場所、経験等の条件に左右させるので計上していない。

 一般的な木質フロア遮音床が材料費10,000円/㎡前後である状況では今回の防音仕様は材料価格が約1.5倍となりコストを検討する必要がある。

写真1.施工完了

徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所 技術情報カード No.42(2002年10月)より
※徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所の了解を得て掲載しています。

 

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