断熱材の隙間が生む9つのトラブル
ほんのわずかな隙間が命取り
断熱材の施工は大変注意が必要です。
断熱材にわずかな隙間があると、下記のような弊害が起こります。
- 熱が逃げる 【断熱性能の低下】
- 冬は部屋内側の壁に結露、夏は壁内結露を起こす 【結露の発生】
- 【カビの発生】(結露により)
- 【ダニの発生】(カビを餌とする)
- 【喘息などの病気・アレルギーの原因】(結露・カビ・ダニの死骸等)
- 【光熱費が上がる】(熱が逃げるため)
- 【環境に悪い】(省エネでない)
- 【不快になる】(エアコンをつけても室内の温度差が大きい)
- 【建物の寿命が短くなる】(結露~腐朽菌の発生により)
「隙間なく施工する」技術は非常に重要です。
» 断熱施工の悪い例 | 暖冷房が効きにくいだけでなく結露・カビ・ダニの原因
断熱材の隙間は壁内結露を引き起こす
施工不良による断熱材の隙間は、断熱効果を下げるだけではありません。冬場は暖房と外気の温度差による結露、夏場はクーラーと外気の温度差による逆転結露が起こります。
次世代省エネ基準は隙間だらけでもOK
次世代省エネルギー地域区分(I~Ⅳ)には、地域ごとにクリアすべきC値(隙間)が定められていますが、温暖な地域ほど壁・床・天井に隙間があっても良いことになっています(平成21年4月1日より気密性能に関する基準が削除されました)。おおまかに言うと仙台以南の地域では床面積1平方メートルに5センチ平方メートルの隙間があっても良いことになっています。100平方メートルの一般的な家の場合、C値5だと、家全体で500センチ平方メートル!も隙間があっても良く、次世代省エネ基準をクリアしているということになります。
温暖な地域では、断熱材に隙間があると、夏季に壁の中で逆転結露が起こるので、温暖な地域だからといって断熱材に隙間があっても良いことにはなりません。壁内の結露は住宅の寿命を縮めるので、何度も建て替える=製造エネルギーの増大につながります。そういう意味でも次世代省エネ基準は非常に古く、現実的でない基準だと言えます。
ちなみにこの次世代省エネ基準をクリアしている住宅は日本全体で4割程度だそうです。(2012年2月現在)
震災後の現在、省エネ化、ゼロエネ化は国の方針となっており、次世代省エネ基準とは別の、厳しい基準を新たに定める方向で議論されているようです。
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2011年 12月28日 水曜日 |
関連タグ: 壁内気流(壁体内気流), 断熱, C値(シー値), Q値(キュー値)