衛星データによる森林特性の解析

-宇宙から見た徳島市-

はじめに

 1972年7月に地球表面の観測を目的とした最初の衛星ランドサット1号が打ち上げられ、以後多数の国から地球観測衛星が打ち上げられています。地球資源探査を目的とした人工衛星による観測は、広域を同時に観測できることと周期性にすぐれているとともに、コンピューター利用による処理の高速化と成果の均質化が可能である利点を生かして最近では各種部門で利用されだしています。
 そこで、衛星リモートセンシングによる画像表示と林業での利用について説明します。

ランドサット

 ランドサットは地球表面の観測を目標とした衛星で5号まで打ち上げられています。1~3号には地球観測用センサーとして、多重スペクトル走査放射計MSSが搭載され4バンドで地球表面を観測しています。4号と5号には、MSSのほかに新型のセンサーTMが搭載され7バンドで地球表面を観測しています。
表-1にランドサットTMの各バンドの特徴などを示します。

<表-1>ランドサットTMの各バンドの特徴

バンド 観測波長帯 特徴
1 0.45~0.52μm 可視域の波長帯。沿岸水の様子や落葉樹と針葉樹の判断。水域の区別はつけにくい。波長が短いため大気の影響を受けやすく気象条件や季節の変化などを受けやすい。
2 0.52~0.60 人間の眼には緑に見える可視域の波長帯。バンド1より水陸の判別はよくできるが、水域と植物は同じように見え、道路、鉄道、地表構造物などの識別ができる。
3 0.63~0.69 人間の眼には赤に見える可視域の波長帯。水陸の境界、植物域、地表構造物などの識別ができる。
4 0.76~0.90 近赤外域の波長帯。水陸の境界がはっきりする。街路網も見えるが、小水路との判別がつけにくい。高層建築物植物量の調査などに適する。
5 1.55~1.75 中間赤外域の波長帯。植物や土壌の水分含有量の推定などが目的。雲と雪の区別、空地、草地、高層建築物地域、水陸の境界、小水路の識別ができる。
6 10.40~12.50 遠赤外域の波長帯。地表や海面の温度分布を表示できる。
7 2.08~2.35 中間赤外域の波長帯。地質における熱水変質地域の識別が目的。高層建築物地域、水陸の境界がはっきりする。

 

宇宙からみた徳島市

 ランドサットTMの1995年5月30日のデータを用いて画像表示の例を示します。

 図-1はトルーカラーといわれる表示方法で、肉眼で眺めているような地表のカラー表示の画像になります。バンド1に青・バンド2に緑・バンド3に赤を割り当てます。

 図-2はフォールカラーといわれる表示方法で、自然色とかけ離れた色合いの画像になります。
各種の表示方法がありますが今回は、バンド2に青・バンド5に緑・バンド3に赤を割り当てました。

 図-3は植生指標を表示した画像で、緑の濃いほど緑資源の量が多くなっています。

 図-4は主成分分析という方法を用いて、徳島市の地表面を大きく5個に分類したものです。

 このように各種バンドを組合せ計算加工して地表面を区分することにより、森林の現況等を把握することができます。

まとめ

 現在のランドサットTMのデータは1つの点が地上の30×30mとなりますので、細かい森林の区分には不十分です。しかし、約0.5ha以上の伐採地や、森林被害(松くい虫被害地)等は抽出できます。

 今後、精度の高い地上の分解能力を持った衛星の打ち上げが予定されていますので、それらを利用して試験研究を行っていく予定です。

徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所 技術情報カード No.16(2000年6月)より
※徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所の了解を得て掲載しています。

 

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2011年 8月26日 金曜日  |   関連タグ:
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