地域材(徳島杉)を利用した2x4部材開発 [2] 試験体製造過程
» 『平成21年度林野庁補助事業 2X4住宅部材の開発事業「地域材(徳島杉)を利用したツーバイフォー部材開発」「地域材(徳島杉)を利用したツーバイフォー部材としての合板代替品の開発」
事業成果報告書 ~ 全国木材協同組合連合会/大利木材株式会社(2011-2-28)』 より
2.1 原料丸太の解説
徳島県内2ヶ所で集めた丸太247本を原料としており、愛媛側の北部に位置する三好地区の丸太が約40%、高知側の南部に位置する那賀地区の丸太が約60%である。
品質面では際立った特徴の差は見受けられなかったが、丸太が少ない夏場の状況でもあり、幅広材をとる為に、尺上材を那賀地区の市場を中心に集めた。
2.2 製材木取り方針
- 横反りを防ぐ為に、芯を中心としたシンプルなタイコ取りとする。
- 側で取れるツーバイ寸法及び、15mm板まで取りつめる、という実践主義で基本方針とした。
- 粗木サイズは、厚みで+4mm 幅を+6mm~+10mmとする。
2.3 課題対処とデーター取り方針
- 実際には、疑問点として製材結果における、製品の木口割れ、節の大きさ等の格付け、それ以外にも、見た目の主観等の疑問点があったが、とりあえず反り、腐り等のない使用可能な製材品であれば、製材一次歩留まりとした。
- また、長さの問題は、現在の原木事情を考え、すべて4mとし、4m製品にての歩留まりとした。
2.4 製材結果
- 製品精度は、予想以上に良好であった。特に、横反りが少ない結果となった。
- 節においては人工林である為か、芯きわの節は数が多いが、ツーバイ材の場合は部材寸法が大きい為に、利用に問題がなく有利であると感じられた。
- 必要幅広枚数の要求が大きい為に、2X4サイズにおいては、小径木タイコ取りを計画より少なくし、大径材の側取りと併用となったが、歩留まり向上となった。
- 木口割れは、幅広材に多く、現実製品化には、長さカットの必要を感じた。
- 歩留まりは、理屈どおりに比較的良好であった。実験の種類が多い為に、各丸太において、可能な幅広サイズを追求した結果である。
2.5 歩留まり
- 一次歩留まりは49.2%となった。
製材後のロスを5%とみて、修正歩留まりを46.74%とした。
ただし現実課題として、割れ等の長さカットを厳密にすれば、もう少し落ちる可能性がある。
- ツーバイフォーJAS規格による年輪幅を適用すると、幅広材は不可能になることも考えられ、県森林研究所と相談の上、この項目は適応しなかった。
従って、歩留まり上もすべてカウントされている。
2.6 原料・製材のまとめと見解
- 2X4材だけでなく、可能な限り各幅を製材する方が歩留まりは上がる。
- 特定のサイズ(2X4のみ)だけを目的とする場合、歩留まりは40%未満である。
ただし、小径木は通常価格が安い為に、実際には原木価格が要因となる。
また、この場合はチップを中心に副産物価格の比率が高くなる為に、歩留まり以外の要因が増える。
(=輸入チップと比べ不当なほど安い国産チップの買取価格は国内製材の問題点である。)
- 2X12を取る上では、伐採減少期には原料不足を感じた。
徳島において、丸太は比較的太くなっている為、全国平均ではより厳しいと思われる。
しかし今後、備蓄増大で解消される傾向であり、在来平角と比べれば、断面積は小さいわけであるから、特別な問題とは感じなかった。
重要点として、製品価格差を設けること、そして今後の伐採量の増大により十分可能である。
- 製材方法として、センター中心のタイコ落とし、板目挽きが有効である。節の断面を丸く、小さくし、横反りが押さえられる。
人工林を製材した場合に、天然林と比べ成長が早い為に、安定した板等をさらに小割した場合に、それぞれがばらばらに反るという現象がみられる。
(天然林の場合は予測がつく。良材とあて材等)
つまり、人工林の場合は成長の速さから、ひとつひとつの年輪に影響を受け、不規則に引っ張られている。
そのような観点からみて、ツーバイ材サイズは材が安定しやすいと予測をたてていたが、予想以上の好結果となった。
その点では、世界的にも人工林を利用する時代になっており、北米、北欧においての製材方法も同じである。
従って、人工林利用にツーバイ材製材は非常に理にかなっていると感じた。
- これらの結論は、製材設備、技術の問題ともいえる。国産材といえども、かつての天然林による付加価値志向とは対極にある分野であり、製材コストを削減した高能率型の製材技術が有効であり、技術というよりは装置産業型である。
しかし、国産材利用には避けて通れない転換期でもある。
また、そのことが実現できれば、国際価格を意識した製品生産、または輸出等も夢ではない。
- 上記結論と同様に、山元での玉切り寸法も重要である。
原木段階での品質選別よりも、必要長さの確保、山元での最大歩留まり、大量搬出等が課題である。
要はコストが重要であり、品質の受け入れは幅が広い。
長さの種類の要求が多くなり、実行できれば、歩留まりも向上する事が予測されるが、現在の山手体制ではそれが不可能な状態で、山林伐採が行われている。
2.7 乾燥、加工過程
- 45日間天然乾燥。
- 1回目、蒸気中温乾燥機に2日間入れる。
- 1週間、倉庫内で養生。
- 2回目、蒸気中温乾燥機に2日間入れる。
- 1週間、倉庫内で養生。
- 3回目、蒸気中温乾燥機に2日間入れる。
- 1週間、倉庫内で養生後、プレナー加工。
2.8 含水率測定
全乾法により測定した検体の含水率を次の表に示す。
2X12の1検体で高い数値が出た物を除き、予想以上に均一に乾燥できていた。
|
2x4 |
2x6 |
2x8 |
2x10 |
2x12 |
平均 |
14.8% |
14.5% |
15.3% |
13.4% |
13.7% |
最高 |
16.2% |
15.3% |
17.3% |
15.3% |
19.3% |
最低 |
14.2% |
13.7% |
13.7% |
12.8% |
13.1% |
2.9 乾燥についての課題と見解
期間も限定されていることから、天然乾燥をしながら仕上げも含め3度の人工乾燥を行った。
1ヶ月半から2ヶ月を要したが、乾燥精度は良好であった。
しかし、過乾燥による問題がなかったか(強度上)という疑問点と、現実には手間とコストを意識すると、天然乾燥期間を長くする必要性を感じた。
2.10 格付け
格付けは、枠組壁工法用製材の日本農林規格に法り、大利木材社員のJAS格付士2名により行われ、目視で甲種2級に該当する材のみを選びだした。
元玉から木取った2X10材や2X12材は、節や欠点が少ない材が多く、2級材を選び出すのに苦労した。
反対に、間伐材や2番玉から木取った材は、程よく小節があり2級材が多く出た。
元玉の材縁部で木取った2X4材や2X6材はそのほとんどが、特急や1級に該当していた。
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