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徳島杉の足場板について
2011-3-30Tags: , このエントリをはてなブックマークに追加

昭和40年代ごろまで、徳島杉は足場板として主に関西方面に供給されてきましたが、しだいに合板やスチール等に置き換えられて行った経緯があります。

徳島県林業総合技術センターではこれらのシェア奪還のためにAQ認証取得に向けて取組み、指定の工場からの足場板についてはAQ認定の取得に成功しています。AQ取得以前の記事を見つけたので紹介いたします。

徳島すぎ足場板の品質管理

‐AQ認証取得に向けた取り組み-

1.はじめに

 徳島すぎ足場板は関西で7割のシェアを占め、主に高速道路の補修の際に吊り足場として用いられています。もともと足場板は杉板が使われていましたが、昭和40年代頃から合板やスチール等にシェアを奪われてきました。

 本県足場板業界は、昭和57年頃に木口の割れ止め防止用波釘を考案し、その品質と価格の手頃さ、合板等と比べ軽くて作業性に優れることなどから需要を大きく伸ばしました。一方、いわゆる杉の中目材は、丸太材積の6割を占めており、生産者(林家)にとってその利用を図ることが大きな課題となっていることから、足場板は中目材の需要先として大いに期待されています。最近では各産地間の競争も激しくなっており、新たな販路開拓が必要となりました。

2.足場板の関東進出

 こうしたなか、徳島県では10数年前から足場板の関東への販路拡大を計画してきました。しかしながら関東ではスギ足場板について日本農林規格(以下JAS)がないなどの理由であまり使用されないという状況でした。そこで関東の建設業界との意見交換等の接触を図る一方で、徳島大学の協力のもと徳島県林業総合技術センターにおいて足場板の強度試験を行い、データを蓄積してきました。

 その結果、平成6年2月にはそれまでの強度試験データをとりまとめ、「徳島スギ足場板の安全基準」を作成することができました。

 平成11年1月、県下3地区の製材グループが「協同組合連合会徳島サンライフ21」を組織し、関東に向けて本格的に足場板を販売する体制を整えました。さらにこれまでの本県の取り組みが評価されたこともあり、平成12年4月には財団法人日本住宅・木材技術センター(以下(財)住・木センター)のAQ認証制度に「足場板」が新たに設けられるに及びました。

3.AQ認証の取得


図1.AQ事業の仕組み

 AQには、“Approved Quality”(品質認証)の略です。ユーザーが安心して利用できるようにその品質・性能を客観的に評価し、優れた製品の証としてAQマークの表示が認められます。

 もともと昭和49年から農林水産大臣の行う制度として運営されてきましたが、昭和63年度から(財)日本住宅・木材技術センターの事業として移行されています。新しい木質建材が次々に開発されたことからJASだけでは対応できずAQ制度が登場したのです。足場板以外にはプレカット部材や防腐・防蟻処理材などがあります。

 AQ制度の仕組みは図-1のとおりです。企業等から申請のあった製品は(財)日本住宅・木材技術センターの品質・性能試験等を行い、判定基準に適合し、製造工場での生産状況などから品質が安定することが見込まれると認められた製品が認証されます。

 また認証申請調査事務機関、指定試験機関には社団法人全国木材組合連合会が委託されています。このうち曲げ試験については徳島県林業総合技術センターが指定試験機関に認定されています。

4.厳しい品質管理体制

AQ製品は認証後も定期的に自主的に品質性能検査を行うことが義務づけられています。各工場には選別技術者が配置され、品質管理規定により、「製品の検査日報」などの品質管理データを保管することとなっています。AQにおける足場板の基準を表ー1に示します。また、3ヶ月に1回、徳島県林業総合技術センターにおいて写真ー1のような曲げ試験を行うことになります。さらに指定試験機関の定期的な工場調査も行われます。

●表ー1 AQにおける足場板の基準
試験区分 判定基準
欠点測定
広い材面で40%以下であること
集中筋 広い材面で60%以下であること
流れ節 広い材面で50%以下であること
丸身 20%以下であること
曲げ試験 曲げ強さが255kgf/cm2以上であること。
寸法測定 (単位:㎜)

区分 標準寸法 許容差
厚さ 35,38 ±1
200,240 ±3
長さ 4000,3000,2000 ±5

おわりに

 強度試験などの検査が順調に進めば、平成12年10月には足場板としては第1号のAQ認証となる見込みです。AQ認証をきっかけに、建築・土木工事に、徳島すぎがますます使われるようになることを願ってやみません。

【実験】木の家は本当に暖かいのか
2011-3-28Tags: , このエントリをはてなブックマークに追加

徳島県林業総合技術センターで「木の家は本当に暖かいのか」という実験が過去に行われていたのでご紹介します。

木に囲まれた空間の暖かさ

-徳島すぎ内装材の快適性評価‐

 オフィスビルの多くは、部屋の床にPタイル、壁にはビニールクロスなどの化学製品を採用しています。しかしながら、このような室内は、冬季に足元が冷えるなど、快適とはいえないようです。その一方で、内装に木材を使った部屋は暖かいといわれています。そこで、木に囲まれた空間は本当に暖かいのかどうかを実際に測定することにしました。

1.測定個所

 測定個所は徳島市かちどき橋の林業センターです。このビルの各部屋の内装は、壁面がモルタル仕上げ、床にはビニールアスベストタイルを施行しています。最近このビルの5階に事務所を構えた「徳島県木の家づくり協会」は、床に徳島すぎ厚板30㍉の表面断熱処理材(床との間に30㍉の根太を施行)を施行し、壁には杉集成材(厚さ10㍉)と和紙クロスを貼っています。この部屋と隣室との保温性、快適性の違いを比較します。

2.快適性の評価


図1.PMVのスケール

 今回、暖かさばどの快適性を評価するにあたって、建築環境分野で使われているPMV値という温熱指標を採用することにしました。これは暖かさや寒さの感じ方を、+3(かなり暑い)から-3(かなり寒い)までの7段階に分けたものです。そして0の値が暑くも寒くもない状態、+0.5から-0.5の範囲が快適とされます。(図1)。

 PMV値は、コンフィメーター(INNOVA社製)で室内の温度、湿度、気流速度を測定して求めます。この場合ヒトの活動量や服装から代謝量(安静で1met)と着衣量(スリーピースで約1clo)を定め計算式に入力します。

3.ふたつの部屋の快適性

図2.二つの部屋の快適性(2/7暖房あり)
注)家づくり協会は11:00~11:10、隣室は11:30~11:40の測定値である
図3.二つの部屋の快適性
注)家づくり協会は暖房あり10:00~10:10 および暖房なし11:10~11:20、隣室は暖房あり10:30~10:40の測定値である。

 測定は、平成12年2月7日から8日の2日間で行いました。2月7日は平均気温7.1℃と比較的暖かい日でしたが、翌2月8日には冬型の気圧配置が強まり、小雪のちらつく肌寒い天候となりました。林業総合技術センターに設置している気象計では、2月8日の平均気温は3℃、最低気温-1.0℃を記録しました。

 図2は2月7日午前11時頃の二つの部屋の測定結果です。家づくり協会ではPMV値が-0.5から+0.5近くまで上昇しましたが、隣室では0を超えませんでした。

 図3は翌2月8日の午前10時頃の測定結果です。家づくり協会では0から+0.5の範囲内でしたが、隣室では-0.5を超えませんでした。つまり隣室はやや寒いレベルでした。さらに、家づくり協会について暖房を切った状態で測定したところ、値は中立値0に近づきました。つまり暑くも寒くもない快適な状態となりました。

4.床・壁の表面温度の影響

壁表面温度と作用温度の関係 (2/7)

注)家づくり協会(床:杉厚板、壁北面:和紙クロス、壁東面:杉集成材)
隣室(床:Pタイル、壁:モルタル)

 なぜ二つの部屋で快適性に差が生じたのでしょう。

 図4は床・壁の表面温度とその周辺の作用温度との関係を示したものです。作用温度とは、気温や放射熱度を考慮した総合指数で体感温度に近いものです。

 この日は2月8日に比べだいぶ暖かかったのですが、それでも家づくり協会と隣室との差がよくあらわれています。“木に囲まれた”家づくり協会では、床・壁の表面温度が高く、作用温度も高くなっていますが、”コンクリートで囲まれた”隣室は、床・壁の表面温度が低く、作用温度も低くなっています。。つまり、床や壁の冷たさが作用温度、すなわち体感温度に影響しているのではないかと推測されます。

5.おわりに

 今回二つの部屋の快適性に差がみられたのは、周囲の材料の表面温度が影響したためと考えられます。データをもっと蓄積する必要がありますが、このような方法で「木で囲まれた空間は暖かい」ということを数量的に実証していけば、オフィスビルや公共施設での木材利用がさらに進んでいくものと期待しています。

 また、家づくり協会では今冬ほとんど暖房を必要としなかったと聞きます。木材を内装に使うことで光熱費の差がどの程度生じるのか、今後、省エネ的観点からの調査も行って生きたいと考えています。

JAPAN SHOP大建工業ブースにWPC藍染杉が登場

DAIKENと大利木材のコラボによる藍染杉「凛WPC」がJAPAN SHOP2011に参考出品されています。

さすが大建工業!堂々たるブースです。

藍染杉の藍色がアクセントとして映えています。

ポップに説明文が書かれています。

おや、壁に不思議なものが!


壁材じゃなくて床材だよ、というのを面白く表現されています。

***

床には各色が一望できるようになっており、藍染杉は目立つ一番手前にレイアウトされています。



販売はまだ先ですが、デザイナーや女性に非常に受けがよく、店舗・商業施設などにはやく使ってもらえれば、と思っています。

» 藍染杉「凛」

藍染杉を外壁に採用頂きました
2011-2-22Tags: このエントリをはてなブックマークに追加

藍染にした徳島杉を外部に使用した物件が竣工間近です。

徳島県徳島市南矢三町の戸建賃貸住宅の外壁の一部です。

目のさめるような藍の青が印象的です。
とても戸建賃貸住宅には見えない(よい意味で!)ですね。


徳島杉の平角人工乾燥材の収縮率

徳島杉の平角材(人工乾燥)を収縮率試験した結果をご紹介します。
※平角とは、木材の製材規格で、挽き角類のうち長方形断面の物を指します。

以下、徳島県林業総合技術センターの資料です。

*****

断面の大きな製材を人工乾燥した場合、表層から乾燥が始まり徐々に内部の含水率が低下します。乾燥終期においても表層と内部の含水率傾斜は大きく、表層の含水率は十分低くなっています。

そのため、表層部の含水率低下によって形状が固定され、全体の寸法変化が抑制できれば、乾燥を早めに切り上げることができます。

今回、仕上がり含水率を高めることにより乾燥時間を短縮することが可能であるか、人工乾燥終了時の含水率の違いによる収縮率の変化によって検討しました。

試験の方法
試験体は徳島県産杉50年生から、木口寸法12cm×24cm、長さ4mの平角に製材したもの38本を用いました。それらの材のうち33本を、蒸気加熱式インターナルファン型人工乾燥機を用いて、乾球温度80℃、乾湿球温度差3~10℃で乾燥しました。人工乾燥後の材は、実験棟内で桟積みし、実際の住宅で使用されているのと近い状態で放置しました。

その間、乾燥終了後、2ヶ月後、6ヵ月後および26ヶ月後の時点で材の幅(長辺)と厚さ(短辺)を測定し、乾燥終了直後の寸法を基準に収縮率を算出しました。

材の含水率は、材の木口から50cmおよび350cmの部位から試験片を取り、それぞれ全乾法により含水率を求め、平均したものを用いました。この含水率から試験体の全乾重量を算出し、寸法測定時の重量により含水率を求めました。

人工乾燥後の仕上がり含水率
人工乾燥終了直後の仕上がり含水率の分布は、図1のとおりでした。

図1 仕上がり含水率分布

含水率25%~30%を中心として最低値は14・6%、最高値は57.9%とバラツキが大きく、予想より高めになっていました。

人工乾燥後の含水率の変化
人工乾燥後の時間の経過にともなう含水率の変化を図2に示します。

図2 経過時間ごとの含水率変化

6ヶ月後では、含水率のバラツキが非常に小さくなり全体が25%以下に低下しています。

人工乾燥後の収縮率の変化
経過時間ごとの幅方向の収縮率の分布を図3に示します。

図3 徳島杉平角人工乾燥後幅方向収縮率

2ヶ月経過後では、ほとんど収縮は起きていません。26ヶ月後は含水率15~25%の範囲において、仕上がり含水率にほぼ比例して収縮率が増加しており、25%以上においてほぼ一定の増加を示しています。

収縮率の0.5%以下にとどめるには仕上がり含水率を15%以下にする必要があります。

厚さ方向の収縮率の分布を図4に示します。

図4 徳島杉平角人工乾燥後厚さ方向収縮率

2ヶ月経過後では収縮率が負の数値になっており、膨張していることを示しています。6ヵ月後、26ヵ月後の収縮率をみると幅方向の収縮率に比較して小さく、仕上がり含水率30%程度でも収縮率の増加は0.5%以内に収まっています。分布に一定の傾向が見られず、6ヵ月後と26ヵ月後で逆転しているものも見られます。

まとめ
人工乾燥後の徳島杉平角の収縮は、仕上がり含水率15%以下でなければ防止できず、したがって、仕上がり含水率を高くすることによる乾燥時間の短縮は期待できません。ただ、厚さ方向のみ寸法変化が問題となる場合は、仕上げ含水率を30%程度にしても影響が小さいことがわかりました。


写真1 実験棟内での人工乾燥材のシーズニング

徳島県林業総合技術センター 技術情報カード No.10(2000年2月)より
※徳島県林業総合技術センターの了解を得て掲載しています。

徳島杉の強度(下)
2011-1-29Tags: このエントリをはてなブックマークに追加

以下、徳島県林業総合技術センターの資料です。

徳島杉、品質管理の事例

1.機械等級区分の方法
徳島杉などを実際に使われるサイズの材で曲げ破壊試験をしたところ、次のことがわかりました。

  1. 徳島杉 実大材の曲げ強さは、以前に節のない小さな試験体のデータから推測されていたものよりも高い。また、一般的に杉の場合、節があっても曲げ強さはそれほど低くならない。ベイマツは節があると曲げ強さが低くなる。
  2. 曲げ試験の際、曲げヤング係数の高い材(たわみにくい材)は曲げ強さが大きい。
  3. 年輪幅は極端な場合を除いてあまり影響がない。
  4. 一般的に杉の強度はばらつきが大きい。

杉の場合、上記の理由から構造材としては目で見るだけの目視等級区分では強度を推定するための効果が低いことがわかっています。

そこで、たわみにくさの指標であるヤング係数から等級区分を行う方法が提唱されました。ヤング係数を測定するのに機会を使用するので機械等級区分と言います。この等級区分法は効果的であり、建設省も表1のような機械等級区分製材の許容応力度の通達を出しています。これは目視等級区分製材の許容応力度と比べて高い値となっています。


表1 杉の機会等級区分製材の許容応力度(建設省通達)

ヤング係数を測定する方法は、大きく分けて2種類あります。1つは、材におもりを載せて、たわみを測定する方法です。今回は振動を利用する方法を紹介します。

図1に縦振動法による動的ヤング係数の測定の概略図を示します。製材の木口をハンマーなどで打撃すると、たたく力に関係なく、その製材のヤング係数と密度と材長から音の高さ(周波数)が決まります。したがって、この音の高さ、重量、寸法を測定すれば、動的ヤング係数を計算することができます。


図1 縦振動法による動的ヤング係数の測定の概略

2.品質管理の事例
写真1は、県内の住宅メーカーが全木連認定機種のポータブルグレーディングマシンで動的ヤング係数を測定し、機械等級区分しているところです。

写真1 全木連認定のポータブルグレーディングマシンによる杉構造材の機械等級区分(徳島県国産材需要センターにて)

あらかじめ測定する材の寸法を入力しておけば、材を支持台の上に載せ、ハンマーで材の木口をたたくだけで動的ヤング係数と等級が表示されます。このときには1棟分の杉構造材をほぼすべてについて測定しましたが、住宅1棟分すべてを測定したのは徳島県内でもはじめての試みだと思われます。木材の品質管理の重要性が認識されつつあると言えるでしょう。

図2に、測定した徳島杉の平角の機械等級区分結果を示します。


図2 木造住宅(徳島県内メーカー)1棟に採用された杉平角の機械等級区分結果

大部分がE70とE90の等級でした。等級区分をすることにより、梁のスパンが長いところにはたわみの少ないE90を使用するなど、材の使い分けをすることができるようになります。

さらに、県木連では機械メーカーと共同で、構造材の動的ヤング係数をより簡便に測定できる装置を開発しているところです。この装置の概略を図3に示します。

図3 開発中の動的ヤング係数測定装置の概略

計量台にフォークリフトを用いて製材を載せ、オペレーターは運転席からリモコンスイッチにより装置を操作し、動的ヤング係数を計測することができます。測定結果と等級はラベルに印字されますので、ラベルを製材に貼り付けて強度性能の証明ができるようになります。さらに、データの記録を自動で行うことができ、出荷した材の記録も残すことができ、製材の品質管理の有効な手段となると考えられます。強度保証された徳島杉構造材が出荷されるようになることを期待しています。

徳島県林業総合技術センター 技術情報カード No.9(2000年1月)より
※徳島県林業総合技術センターの了解を得て掲載しています。

徳島杉の強度(上)
2011-1-14Tags: このエントリをはてなブックマークに追加

以下、徳島県林業総合技術センターの資料です。

徳島すぎの強度(上)~実大材強度試験の経緯

1.木材の強度
建築基準法施工令には木材の許容応力度(設計上許容される材料の強さ)が定められています。表1に各樹種の許容応力度を示しましたが、設計者は建築物の構造計算を行うとき、この値を用います。スギはベイマツよやヒノキより低い値が設定されているのがわかります。


表1 木材の繊維方向の許容応力度

実は許容応力度のもととなる木材の強さ(基準値)は、これまで無欠点小試験体という2~3cm角の小さなものから求められていました。ところが昭和50年以降にカナダで実大材強度試験が精力的に行われ、この基準値と実際の製品強度が必ずしも一致しないことが分かったのです。

このため、各国でも実大材の寸法による、木材の強度試験が行われ始めました。我が国でも昭和56年から3ヵ年間、徳島県のほか岩手、山形、静岡、奈良、島根が参加した共同プロジェクトが実施されました。そして10.5cm角のスギ正角の実寸法の強度試験(破壊試験)から、強度を推定するのにヤング係数が有効であること、曲げヤング係数が高いものほど曲げ強度が高くなっていることなどが分かりました。(図1)


図1 スギ正角の曲げヤング係数と曲げ強さ

ちなみにヤング係数とは材料の変形しにくさのことです。この数値が大きいほどたわみにくい材ということになります。つまり、たわみにくい材料ほど強い曲げ性能を持つという訳です。

2.中目材の構造的利用
徳島県の特に南部では、古くから杉が梁や桁等の横架材に使われてきました。経験的に杉が強いことが知られていたのです。ところが、先に述べたように杉材の強度的評価は低いものでした。

こうした中で、昭和59年に林業クラブ青年部(徳島すぎクラブ)がその強さを実証しようと、60~70年生の杉中目丸太(丸太の末口径18~32cm)から採材した平角材等124体を国立林業試験場に持ち込みました。このとき測定されたスギ平角(12cmx24cmなど)の曲げ強度と曲げヤング係数の平均値はそれぞれ419kgf/cm2、92.1tf/cm2で、いずれも建築基準法施行令及び日本建築学会で示された基準値(曲げ強度225kgf/cm2、曲げヤング係数70tf/cm2)を大きく上回りました。

杉でこのように大きな断面での実大強度試験は、全国で初めてでした。また、中目材については丸太材積に占める比率が大きいわりに用途が限られることから、どこの林業産地でも課題となっており、その意味からも画期的な試験であったといえます。


日本初めての杉梁材実大曲げ試験(昭和59年農林水産省林業試験場)

3 スギとベイマツの強度
その後、林業総合技術センターでは、昭和62年に、最大曲げ荷重20t、圧縮100tまでの強度試験ができる木材実大強度試験機を導入し、試験体制を整備することとなりました。そして徳島県下の各流域のスギで行った強度試験では、曲げ強度350kgf/cm2という平均値を得ました。(表2)


表2 徳島杉の強度試験結果(徳島県林業総合技術センター)
(注1)許容応力度は、強度下限値に安全率などを乗じて求められている。
(注2)変動係数CVとは、ばらつきを表し、標準偏差を平均値で除して求める。

他県でもこうした強度試験が行われ始め、大きな流れとなりました。全国21研究機関の実大材データは、木材学会でまとめられ、その分析結果から、①樹種を問わず曲げ強さを推定する最も有効なものはヤング係数であること、②スギについては節があるから弱いとは言えないことなどが示されました。

この成果をもとに、平成3年1月、「針葉樹の構造用製材の日本農林規格(JAS)」が新たに制定され、建設省ではこれに適合する製材の許容応力度を設定しました。

従来、ベイマツの強度は高く、スギの強度は低く見なされてきました。ところが、表3でおわかりのように、甲種構造材の1級では確かにベイマツの方が高くなっているのに対して、2級ではスギの方が高く設定されています。これは実大強度試験の結果、スギがベイマツに比べて節などの欠点に影響を受けにくいことがわかったからです。(続く)


表3 目視等級区分製材の許容応力度(H4.1.31建設省通達)

徳島県林業総合技術センター 技術情報カード No.8(1999年12月)より
※徳島県林業総合技術センターの了解を得て掲載しています。

徳島杉の心材の耐蟻性はヒノキ同等
2011-1-4Tags: , このエントリをはてなブックマークに追加

徳島杉がシロアリに対してどれだけ強いのか?
徳島県林業総合技術センターの実験によると、徳島杉の心材はヒノキと同等の耐蟻性を持っているそうです。

以下、徳島県林業総合技術センターの資料です。

徳島杉土台角の耐蟻性評価

はじめに
住宅の土台角としてはスギやヒノキが好まれますが、耐久性を比べた場合、スギがヒノキと比べて大きく劣っているわけではありません。たとえば、心材の耐久性の区分でヒノキはⅡ(大)に、スギはⅢ(中)に区分されています。

一方、耐蟻性の分類ではヒノキ、スギともに中にランク付けされています。また、土壌に設置した場合の主な樹種の心材の耐用年数ではヒノキが7年、スギが6年と大差はありません。

そこで、実際に土台に使用されている木材(スギ、ヒノキ、その他)をイエシロアリに食害させ、耐蟻性を比較しました。

シロアリの種類
現在、シロアリは世界中で2,400~2,500種類が知られていますが、日本に生育するシロアリは16種類で、そのうち木材に大きな被害を与えるのは、イエシロアリとヤマトシロアリの2種です。

イエシロアリは神奈川県以西に分布し、世界中で最も被害の激しい種類の一つです。加害速度は速く、水を運ぶ能力があるため、被害は建物全体に及びます。また、古い材よりもむしろ新しい材を好みます。

ヤマトシロアリは北海道北部を除いて日本全土に分布し、そのため被害件数は最も多くなっています。湿潤で腐朽した材を好んで食害するため、特に水まわりに被害が多く、雨漏りがある場合は小屋組材まで加害することもありますが、加害速度はそれほど速くありません。


表1 日本において経済的に重要なシロアリ種

試験方法
供試材料にはスギ心材および辺材、ヒノキ心材、ベイマツ心材、ベイツガ心材を用いました。試験体数は各10体、試験体形状を木口面100mm×100mm、長さ100mmとし、京都大学木質科学研究所内のイエシロアリ飼育槽上に3ヶ月設置しました。

この飼育槽ないの環境条件は、気温28℃、湿度75%~80%、1飼育槽内におけるイエシロアリの個体数は50~100万頭でした。その間、1ヶ月ごとに目視観察による被害度及び被害面数の測定を行うとともに質量減少率を求めました。

被害度は以下の「被害度の区分」により評価しました。

区分 被害状況
被害なし
部分的に軽微な被害
全体的に軽微な被害
2に加え、部分的に激しい被害
全体的に激しい被害
被害により形が崩れる

結果および考察
図1は平均被害度を示しています。スギ心材とヒノキ心材はシロアリの食痕が痕跡程度であり、ほぼ無被害でした。

スギ辺材については平均被害度2.2ですが、材中に含まれる心材部分はほとんど食害を受けていませんでした。

ベイマツはスギ辺材とほぼ同じ平均被害度3.6で今回の試験では最も大きな被害が確認されました。


図1 目視による平均被害度

図2は平均被害面数を示しています。平均被害度の結果と同様の傾向であり、スギ心材は0.6面、ヒノキ心材は0.5面と同程度でした。

ベイツガは5.2面と最も被害面数が多く、最初の1ヶ月間でほとんどの面で被害を受けていたことがわかります。


図2 目視による平均被害面数

図3は推定質量減少率を示しています。

スギ心材、ヒノキ心材は低い減少率であることがわかりました。一方、ベイツガは3ヶ月後では約40%まで減少し、大きく食害される危険性があると考えられます。


図3 含水率15%としたときの推定質量減少率

おわりに
木材の耐蟻性による分類は試験法やシロアリの種類によってその順位が変動しやすく、一般的な分類は困難とされています。しかし、今回の試験結果においては、スギおよびヒノキの心材ともに食痕が痕跡程度であり、ほとんど被害を受けておらず、耐蟻性に関しては同程度の性能を期待できることが推測されます。

徳島県林業総合技術センター 技術情報カード No.4(1999年8月)より
※徳島県林業総合技術センターの了解を得て掲載しています。

輸入丸太(原木)の仕分け風景 | 徳島木材団地
2010-12-1Tags: このエントリをはてなブックマークに追加

徳島木材団地の最奥には輸入丸太(原木)の荷揚げ場があります。
ものすごく広大!です。

ロシアからの船で届いた丸太です。

丸太に等級をつけていく作業です。

丸太は貯木場の皮剥き機で皮を剥き、製材所へ販売されます。

東京ビッグサイトに藍染杉ブースで出展中です

東京ビッグサイトで開催中(11/10~12)の中小企業総合展の住宅・土木・建築コーナーに出展しております。
(この記事は会場ブースから書いています。)

ビッグサイト、相変わらずでっかいです。

大利木材は藍染杉で出展しています。

美しい藍染めの色はやはり目を引き、立ち止まる人が多いです。

今回は中小企業庁主催のイベントです。
面白い商品・サービスを持っている企業を公募し、選別しているので、工夫をこらしたアイテムが並んでいます。
業種を異にするものの、どこにでもあるようなものは逆にあまりなく、なかなか面白いです。

残り1日ですが、お時間のある方はぜひお越し下さい。(無料です)

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